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ワインセラーの基礎知識

ワインセラー活用術!おいしさを保つ秘訣

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ワインを最適な環境で保存するには欠かせない必須アイテムが「ワインセラー」。いくらワインに詳しくても、高級ワインを保有していても、ワインセラーについての知識が曖昧ではまさに宝の持ち腐れ。

まずは本記事を通して、ワインセラーの基本からその種類や効果、使用するメリットについて学んでいこう。

ワインセラーについて

ワインセラーを端的に表現すると、ワインにとって適切な品質管理をしてくれる専用の貯蔵庫といえるだろう。
しかし、ちまたには「ワインクーラー」と呼ばれるものもあれば、そもそも一家に一台あるであろう「冷蔵庫」という製品もある。

ワインセラーとこれらの製品では、一体何が違うのだろうか。ワインセラーとよく比較される「ワインクーラー」や「冷蔵庫」との違いについて解説する。

ワインクーラーとは、ここが違う

名前こそ似ているワインセラーとワインクーラーだが、実際は似て非なるもの。まず、ワインセラーは長期的な保管を目的とする一方で、ワインクーラーは短期的にワインを冷やすことが目的だ。

つまり、日常的なワインの保管に最適なのがワインセラーであり、一方でパーティや食事会で常温のワインをすぐに冷やしたいときに使用するのがワインクーラーだと理解してもらえるといいだろう。

冷蔵庫とは、ここが違う

筆者もソムリエという職業上「冷蔵庫があるのになぜワインセラーが必要なの?」という率直な意見をよくいただくが、冷蔵庫とワインセラーでは全くの別物と考えてもらう方がいい。

まず前提として、ワインの安定した保管には一定の適切な温度(12~15℃)と湿度(60~70%)が欠かせない。対して、冷蔵庫の温度は2~6℃、湿度は10~20%。

これではワインの低温劣化による風味の希薄化や、乾燥環境下でのコルクの縮みに起因する液漏れや酸化のリスク、さらには冷蔵庫内の食品のにおいが移ることも懸念される。

主に上記の理由から、ワインの安定した保管には専用のワインセラーを利用するのが理想的だといえるだろう。

ワインセラーでおいしさが保たれる理由

ブドウ農園とワインの画像

ワインセラーで保管されたワインがそうでないものと比べておいしい理由は至ってシンプル。それは「温度管理」「湿度管理」「遮光性」の3点においてワインセラーが秀でているからだ。

温度管理がもたらすワインの熟成効果

実は、ワインの熟成のメカニズムは未だはっきりと解明はされていないのだが、一つだけ確かにいえることがある。それは、ワインの熟成には安定した温度帯での保管が欠かせないということた。

ワインの熟成に適した 12~15℃ とされているが、これは熟成という名の化学反応が安定して進む温度帯であることを意味する。ワインにとって、適切なスピードで化学反応を繰り返し複雑な風味を醸していくには、冷たすぎず熱すぎない適温が求められるのだ。

温度が低すぎては熟成スピードが抑えられる結果、ワインの風味は固く閉じこもり、酒石形成が促進されることで旨味成分の減少や低温劣化を引き起こす。

一方、温度が高すぎると熟成スピードが促進され、過度になると熱劣化と呼ばれる果実味に乏しくピリッとした風味が際立つワインになってしまうため、適温でも保存が非常に大切になる。

湿度管理・遮光性による劣化防止

温度管理に加え、湿度管理や遮光性もワインの劣化を防ぐ重要な要素だ。

湿度でいえば、冷蔵庫での長期保管がおすすめされない理由は二つある。一つ目が、湿度が低く最適と言われる庫内の湿度を 60~70% に保てない問題だ。 冷蔵庫では冷却器による除湿やファンによる冷気の影響を受けるが、フィラディス製ワインセラーでは冷却器周辺で発生する霜を効率的に溶かして庫内の水受け皿に一時的に水分として蓄積し、自然蒸発を促す形で解決している。

ニつ目が、同じく湿度の低さによるコルクの乾燥問題だ。徐々に増えているスクリューキャップや合成コルクでは問題にならないが、一定の価格以上のワインでは未だ天然コルクが多く採用されているため、乾燥には注意したい。

そして、光(紫外線)もワインに大きな影響を及ぼすことが分かっている。仮に蛍光灯であっても長期間の光にさらされたワインは果実味が薄くなり、酸味が際立つとされているため注意したい。

ワインセラーの冷却方式を理解し活用する

自分のワインライフにぴったりのワインセラーを見つけるために、まず避けて通れないのが冷却方式だ。冷却方式が一つ違えば、そのワインセラーは全くの別物といっても過言ではない。

ストックされたワインの画像

コンプレッサー方式の長所と短所

コンプレッサー式は冷却力が最も高く、省エネ性にも優れている。稼働音が少し気になるといわれることもしばしばあるが、製品によっては、さほど気にならないケースがほとんどであり、仮に気になるとしてもデメリットを遥かに凌ぐメリットの方が多い。

予算に余裕のある方、大量のワインをストックしたい方、初期費用よりトータルコストで得したい方はコンプレッサー方式一択でいいだろう。

ぺルチェ方式の長所と短所

10,000円前後で入手できるその手頃な価格や高いデザイン性、コンパクトなサイズの3点が、ペルチェ方式の最大の特徴といっていいだろう。

これで冷却力が高ければ嬉しいのだが、コンプレッサー方式と比べて1/5~1/8と残念ながら低く、エネルギー効率も悪い。ビジネスホテルの冷蔵庫もペルチェ式であることを踏まえると、いかに冷却力に期待できないかイメージしやすいのではないだろうか。

熱吸収式(アンモニア式)の長所と短所

熱吸収式は3つの冷却方式の中で最も静音性が高いとされているため、例えば寝室など静音性が求められる場所に適している。

しかし、冷却力はペルチェ式といい勝負のため、省エネ性にも劣り、トータルコスト面ではコンプレッサー方式に軍配が上がる。

ワインセラーの収納と保管環境を適切に

セラーに収納されたワインの画像

基本的なワインセラーの知識を押さえたうえで、最後は少し実践的な内容を筆者の実体験も踏まえつつお伝えしたい。

ワインの所有本数に応じた収納本数

選ぶセラーの収納本数は、現在所有しているワインの1.5~2倍の本数を収納できるサイズを検討していただきたい。

理由は、大は小を兼ねるというのがまず一つ。次に、いざワインセラーを購入するとこれまでのワインを飲む楽しみに加えて、 集める楽しみも増えてくるという、私を含め多くのワインラヴァーが経験したワインのマジックにかかるからだ。

本記事を見ているあなたも、決して他人事ではないだろう。

湿度と温度の適切な管理

フィラディス製ワインセラーの庫内温度は、特に周辺温度が下がりやすい冬期などではヒーターによる加温が行われ、 庫内温度を下げたい時にはファンモーターによる冷気循環が行われてうまく調整されている。また湿度調整は前述の通り強制的ではなく自然な蒸発を促す形だ。

温度は赤ワイン、白ワイン、泡系、全て同じで12~15℃がおすすめだが、製品によっては上段と下段で分けて管理できる2温度帯管理モデルもある。

実際に筆者の私もこのモデルを使っているが、私の場合下段は日常消費用で8℃、上段は熟成用で13℃に設定しており大変重宝している。

日本酒ボトルも収納可能なラインナップ

昨今は国内外で日本酒人気が高まっているせいか、日本酒も一緒に収納できるモデルが多数リリースされている。特にフォルスターは国内屈指のラインナップを誇り、7種類以上のモデルで日本酒ボトルの収納が可能となっている点は流石だ。

なかでも「FJE-113」は、フォルスタージャパンのEssential(エッセンシャル)シリーズを代表するアイテムの一つ。44本という収納本数ながらコンパクトなサイズ感も魅力的、かつワインの保管に申し分ない性能を全て搭載しているため大変おすすめだ。

ワインセラーの活用でおいしいワインを飲もう!

ワインと風景の画像

ワインセラーは温度・湿度管理や遮光性を備えたワインの保管に特化する専用アイテムだが、何よりまずは本記事で紹介したようなワインセラーの基本的性能や重要性など、正しい知識を知ることが重要だろう。

フィラディスワインコラムでは、今後もワインセラーに関するタメになる情報を発信していくので、皆さんせひ楽しみにお待ちいただきたい。