家庭用ワインセラーの選び方とおすすめモデル

これまでワインセラーに関する基本知識を中心にコラムを綴ってきたが、今回は家庭用ワインセラーと題し、選び方やおすすめモデルについて紹介する。
コラム内では、家庭用ならではの購入ポイントや注意点についても解説しているため、購入を検討している方にとっては実用的な内容となっているはずだ。
家庭用ワインセラーの選び方ガイド
家庭用ワインセラーを購入する際、事前に知っておくべきポイントはいくつかある。当記事では簡単にしか触れないが、より詳しく知りたい方はこちらの記事ですでに解説しているため、併せてぜひ参考にしてほしい。
初心者が知っておくべきポイント
家庭用ワインセラーを選ぶ際、まずは以下の3つのポイントを押さえてほしい。
- 冷却方式:ワインセラーには主に「ペルチェ方式」と「コンプレッサー方式」の2種類の冷却方式がある。ペルチェ方式は静音性が高く、小型でデザインも多種多様だが、冷却力はやや弱い。逆に、コンプレッサー方式は冷却力が強く大容量、かつ電気代もペルチェ式より安く済むためワインセラーに最適である。
- 熟成温度&飲み頃温度:ワインの保存温度には、熟成温度と飲み頃温度の2タイプがある。ワインを安全かつ長期的に保存したい場合は、13℃前後の熟成温度を維持することが大切だ。一方、飲み頃温度は実際にワインを飲む際に注意すべき温度を指す。一般的に赤ワイン16〜18度、白ワイン7〜9度、泡系5〜8度が理想的とされる。
- 収納本数(ワンサイズ上がおすすめ):サイズについては現在のワイン本数に合わせたサイズよりも、少し大きめのモデルを選ぶのが賢明である。おすすめとしては、検討しているワインセラーの1.5倍ほどある収納本数のものを選ぶと余裕があって安心だ。
ワインの品質維持に必要な性能
ワインの品質を長期間保つために備わった、以下の3つの性能について簡単に押さえておこう。
- 強い冷却力:ワインを外気から適温状態に保つには強い冷却力が欠かせない。ワインセラーの中で最も冷却力に優れているのはコンプレッサー式だが、ペルチェ式のおよそ5〜8倍も優れている。
- 自然に加温:寒い季節でもワインを一定温度で保存するためには、加温ヒーターがあると安心だ。これはモデルによって常備しているものとしていないものがあるため、年中安定した品質管理をしたい方は必ずチェックすべき点である。
- 湿度維持:ワインセラーでは湿度管理も重要である。強制的な加湿を行うメーカーもあるが、フォルスタージャパンのワインセラーは冷却器に着く霜が溶け、水に代わり一旦蒸発皿に貯めた後、自然な蒸発を促進することで、湿度を60%から70%に保つ優れた性能を持つ。
適切な温度と湿度の管理方法
ワインセラー内の温度と湿度の管理が不十分だと、ワインの劣化が早まることがある。温度は12〜15度、湿度は60〜70%が理想であり、これを保つことでコルクの乾燥や風味の劣化を防ぎ、ワインが持つ本来の個性を楽しめる。このテーマについてはこちらの記事で詳しく解説しているため、気になる方はご覧いただきたい。
おすすめワインセラーとその特徴
それでは本記事のメインテーマであるおすすめのワインセラーについて、各テーマやシチュエーションに応じた推奨モデルを紹介する。
コンパクトでおしゃれなデザイン

ワインも保管でき、デザインもおしゃれ。そんなワインセラーなどこの世にないと諦めていたあなたに朗報だ。フォルスターの「エッセンシャルシリーズ」では「品質」「デザイン」「使いやすさ」の3拍子にこだわった製品が多数揃っている。スタイリッシュなデザインとコンパクトなサイズ感で、家庭内でもスマートに設置できる。
電気代を抑えたモデルの選び方
24時間365日使用することがほとんどであるワインセラーにおいて、消費電力や省エネ性というのは誰しも気になるところだろう。そこでおすすめなのが、インバーターコンプレッサー搭載の「ロングフレッシュシリーズ」だ。必要に応じて適宜稼働することで、従来のコンプレッサー式以上の冷却効率を実現。同社のデータでは、電気代を年間約36%も削減したとの結果も出ている。*
*当社の従来機ST-407(同サイズの旧モデル)と比較した場合。
電源周波数50/60Hzの場合、電気代(目安単位):27円/kWh(税込)で計算。
公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引委員会 H26.4.28改訂。308/408シリーズのみ
静音性に優れた小型〜中型セラー
小型〜中型のワインセラーを選ぶ際には、静音性も重要である。おすすめは「エッセンシャルシリーズ」。インバーターコンプレッサーの採用により、省エネ性はもちろん、高い静音性も備えた優れものである。
家庭用にぴったりのワインセラーの設置場所
ワインセラーを購入するうえで地味に頭を悩ませるのが設置場所。部屋のインテリアに馴染むモデルや機能性を損なわない配置について気になる方はぜひ参考にしてほしい。
キッチンやリビングに合うセラー

キッチンやリビングに置く場合、何かとうまくはまらないのがワインセラー設置あるあるだろう。なるべく今の部屋の雰囲気やインテリアに馴染むものにしたいのが世の常だが、そんな悩みを解決してくれるのが、前面放熱タイプの「FJPシリーズ」や薄型デザインの「エッセンシャルシリーズ」。
通常ワインセラーは後面放熱タイプが多いため、その分のスペースを確保する必要がある。その点、前面放熱タイプでは左右後方のスペースを気にする必要がなく、ビルトインのように使える点が最大の特徴だ。また日本のライフスタイルに寄り添うデザインとして設計された薄型デザインのエッセンシャルシリーズも、高い性能を有しながら空間に馴染むデザイン性が魅力となっている。
寝室設置の注意点
ワインセラーを寝室に設置する際は、稼働音に注意が必要である。コンプレッサー式自体、冷蔵庫と大差ない稼働音のものがほとんどだが、先述したインバーターコンプレッサーのような静音性の高いモデルを選ぶことで快適さが増すだろう。
効果的なワインセラーの設置方法
ワインセラーの設置場所としておすすめなのは、涼しくて風通しの良い場所や周囲に放熱スペースを十分に確保できる場所である。これにより冷却効率が向上し、結果的にワインの品質を保つことや省エネにもつながる。
ワインセラーの価格帯別おすすめランキング
ここまでは性能や特徴シチュエーション別などに紹介してきたが、次は価格別におすすめの製品を紹介する。
リーズナブルな価格で選ぶ
コストパフォーマンスに優れたワインセラーを選ぶなら「フォルスタージャパンFJP-57/88」が最適である。リーズナブルながら、基本的な性能をしっかりと備えつつ、ビルトインタイプのコンパクトさも初心者のみならず、万人におすすめできる点だ。
中価格帯のバランスモデル
中価格帯のワインセラーを探しているなら、性能の良さとデザインのバランスが取れた「エッセンシャルシリーズ」や「SGシリーズ」がおすすめである。さらに、容量が多めの「FJH-201GS」も選択肢に入る。家庭用のワイン保管としては十分すぎるくらいの性能を誇りつつ、静音性や省エネ性といったその他の観点でも申し分ないモデルばかりだ。
プロ仕様の高級モデル
ソムリエをはじめ、本格的なワインマニアやコレクターの方には、プロフェッショナル仕様の「ロングフレッシュシリーズ」がおすすめだ。インバーターコンプレッサーを搭載したハイスペックモデルであり、ワインにとってこのうえない環境を提供してくれる。ワインラヴァーから長年愛されているのも納得の高級モデルだ。
家庭用ワインセラーで、始めようワイン生活
家庭用ワインセラーを選ぶ際にはワインを保存するための性能も大事だが、それ以上にサイズやデザイン、静音性や省エネ性といった要素も検討することが大切だ。ちなみに、筆者一押しのフォルスタージャパン製品はビルトインタイプのFJPシリーズ。機能性とスタイリッシュさを両立した製品はめったに無いため、ワインセラーデビューにもぴったりの製品だ。

ライター紹介

田中 純平 (Junpei Tanaka)
J.S.A認定SAKE DIPLOMA
WSET Level3
大学時代のスペイン留学中にワインの魅力に囚われ、帰国後はスペイン語とワインの二足の草鞋を決意。在学中にヴィノスやまざきでインターンを経験し、同年にワイン関連の資格を諸々取得する。卒業後はフリーランスとして独立し、スペイン語レッスンや(株)楽天グループの翻訳担当を経て人気ソムリエが監修を務めるお酒のウェブメディアや西日本新聞社運営の焼酎メディアにて監修ライターを務める。現在は副業にて、ワインD2C会社であるHomewineに携わり、ワインに関する相談にお答えするソムリエコンシェルジュサービスを担当中。