ワインの構成
● 鼻でチェック!ワインの香り
コンテストに出場するソムリエは、ワインの香りを嗅ぎ、ワイン産地の予想を一気に絞り込んでいきます。ワインをたくさん飲み、たくさん嗅ぐ経験を積むと、品種や産地の傾向がつかめるんですね。
さあ、貴方は1つのワインから何種類の香りを嗅ぎ取ることができるでしょう?
いろいろな香りの要素
■果物
- ・柑橘系
- 溌剌とした柑橘系の香りは白ワインの表現でよく使われ、また若々しいワインでは特に強く現れます。涼やかな土地でブドウが収穫された証拠です。
例)オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム etc. - ベリー
- 赤ワインの香りを表現するのに喩えられるのがベリー。温暖なワイン産地ではカシスが、冷涼な産地ではラズベリーが薫ります。
例)いちご、ラズベリー、クランベリー、カシス etc.
- ・木に実る果物
- りんごや洋梨は白ワインに、チェリーや梅はピノ・ノワール種の赤ワインに度々現れます。甘口ワインでは、桃や杏の香味が強くなります。
例)りんご、洋梨、桃、チェリー、梅、杏 etc. - ・トロピカルフルーツ
- ボージョレー・ヌーヴォーは、バナナの香りが。また、パイナップルやマンゴーといった南国のフルーツは、白ワインの香りにボリューム感を与えます。
例)バナナ、パイナップル、マンゴー、ライチ etc. - ・乾燥フルーツ
- 樽で熟成した甘口ワインには、レーズンの香りがあふれています。他、乾燥フルーツが薫るワインは、ワイン産地が暖かいと見ていいでしょう。
例)レーズン、乾燥いちじく、いちごジャム etc. - ・ナッツ
- 赤ワイン、白ワイン問わず広がる香りの要素。シェリーのように強く酸化させたワインからは、くるみの香りがします。
例)くるみ、ヘーゼルナッツ、アーモンド etc.
■植物
- ・草、野菜
- 若々しい赤ワインで表現されることが多いのが、草や野菜です。ピーマンは、ボルドー地方を代表するカベルネ・フラン種の特徴的な香り。
例)若葉、シダ、ピーマン、アスパラガス、ユーカリ etc. - ・花
- バラやすみれなどは赤ワインで、オレンジやジャスミンなど白い花は白ワインで表現される香りです。また、新鮮な花、枯れている花という表現も。
例)バラ、すみれ、オレンジ、ジャスミン、アカシア etc.
- ・森、木
- ワインに漬け込んだブドウの茎や、醸造で使用した樽の香りを嗅ぎ取ると、それは森や木に喩えられます。
例)杉、樫(オーク)、松、ヴァニラ、樹脂etc.
■香辛料
- ・ハーブ系
- フレッシュな白ワインから立ち上ることの多い香り。青々しさの中に特徴的な香りが潜んでいて、アクセントになります。
例)タイム、バジリコ、ローズマリー、レモングラス etc. - ・その他の香辛料
- コート・デュ・ローヌ地方の赤ワインなどは、この香辛料の香りが豊かに広がる代表格。時にはオリエンタルな香りとも評されます。
例)コリアンダー、ナツメグ、シナモン、丁子、胡椒 etc.
■動物
- ブルゴーニュやボルドー産の重厚な赤ワインを長期熟成させたとき、獣にちなんだ香りを感じ取れる場合も。「猫のおしっこ」なんて不思議な香りは、ソーヴィニヨン・ブランで造った白ワインで表現されることが多いものです。
例)なめし革、麝香鹿(ムスク)、濡れた犬、猫のおしっこ etc.
■大地
- ・土、きのこ
- ボルドー地方やローヌ地方の力強い赤ワインを長期熟成させると、土をイメージさせる香りが広がります。また、ブルゴーニュ地方の白ワインを熟成させると、きのこの香りが高くなります。
例)腐葉土、マッシュルーム、トリュフ etc. - ・ミネラル
- ワインに一筋の透明感を与える、重要な香り。これが出るかどうかは、ブドウが育った土壌の成分に大きく左右されます。
例)火打石、硫黄、鉄、石灰 etc.
■その他
- ・蜂蜜(花の蜜)
- 貴腐ブドウや遅摘みブドウから造られる甘口の白ワインに顕著に表れる香り。
その代表は、フランスのソーテルヌやドイツのアウスレーゼなどです。 - ・バター
- 乳酸発酵を行なった白ワインによく表れる香りですが、熟成を経ると弱まる傾向が。 ブルゴーニュのモンラッシェをはじめとする高級な白ワインで感じられます。
- ・微生物
- ワインを天然の酵母で醗酵させたときには、醗酵が終わっても酵母の香りを強く感じることがあります。また、瓶の中に入り込んだ微生物が原因の場合も。
例)ヨーグルト、カビ etc. - ・ロースト香
- 醸造に使用する樽の内側を焦がした香りや土壌に由来した香りが、このロースト香に連なっていきます。
例)カラメル、焼いたアーモンド、カカオ、スモーク etc.
♪さらにone point
はじめは、どのワインを嗅いでも「えーと、ワインの香りしかしない・・・」としかコメントできないもの。
そこでまず、ワインを2種類用意して、その違いを感じとるところから始めてみては。「こっちのほうが甘い香り!」などと違いが判別できたら、次のステップへ。「この甘い香りは何の香りに近いかな?」と、イメージをふくらませてみてください。